更新状況
- 2022年9月18日:和食処 大むらへのリンクを設定
- 2022年4月10日:2月に撮影した写真を追加。ウメと宝篋印塔(差し替え)、浄妙寺へのリンクを設置(水琴窟)
- 2021年12月25日:11月に撮影した写真を追加。徳宗大権現堂、平成水琴窟、宝篋印塔、ムクロジなど。
- 2021年11月23日:記事掲載
この記事の目次
宝戒寺とは
宝戒寺は、鎌倉駅から徒歩およそ13分、鎌倉市小町にある天台宗の寺院です。山号は金龍山(きんりゅうざん)、開山は円観恵鎮慈威(えんかんえちんじい)。1335年(建武2年)、後醍醐天皇が北条一族の霊を弔うために、足利尊氏に命じて、北条氏の執権屋敷跡に建立させた寺院です。
この地はもともと北条義時以降代々の北条執権邸旧蹟の地。北条義時が小町亭といわれる館を築いたところで、代々の執権は概ねこの小町亭を主たる邸宅としていました。
開山の恵鎮(慧鎮とも)は、五人の天皇の戒護師(かいごし)となったことから「五朝(代)戒師または国師」と呼ばれ、宝戒寺には人材育成と修行の場となるように戒壇院(かいだんいん:戒律を授受するための建物)が置かれました。
本尊は子育経読地蔵大菩薩(こそだてきょうよみじぞうだいぼさつ)ですが、多くの仏像を本堂内で間近に見ることが出来る貴重な場所となっています。
宝戒寺は、鎌倉江の島七福神(毘沙門天)、鎌倉三十三観音(2番札所:准胝観音)、鎌倉二十四地蔵(1番札所:子育経読地蔵大菩薩)などの鎌倉霊場、鎌倉名所巡りの対象地にもなっています。
宝戒寺を散策しよう
境内案内図:宝戒寺公式サイトから引用
ハギの花満開の参道
鶴岡八幡宮入り口から右に進み暫く歩くと、宝戒寺の入り口が見えてきます。参道に入ると早速ハギの花のお出迎えです。
参道に入るとすぐ左側に「北条執権邸旧蹟」の碑があります。参道脇には庚申塔も立っています。
拝観受付から境内へ
拝観料を納めて境内に入ります。本堂前にはハギが覆いかぶさるように枝を広げて、ハギとハギの間をくぐるようにして本堂前に進みます。
本堂内には多くの仏像が並び、間近で拝観することが出来ます。
宝戒寺本堂の主な仏像
- 本堂中央正面:子育経読地蔵大菩薩(こそだてきょうよみじぞうだいぼさつ)〈鎌倉二十四地蔵尊 札所第1番〉⇒国指定重要文化財
- 本堂向かって左:毘沙門天(びしゃもんてん)〈鎌倉・江ノ島七福神〉
- 本堂向かって左:仏母准胝観世音(じゅんていかんぜおん)〈鎌倉三十三観音 札所第2番〉
- 本堂向かって右:閻魔大王(厄除閻魔(やくよけえんま))
暫くの間仏像たちの姿を見ながら心を落ち着かせる贅沢な時間を味わいます。
本堂向かって右側に並ぶ3つの堂宇 聖徳太子堂・徳宗大権現堂・大聖歓喜天堂
本堂に向かって右側には、3つの堂宇が並びます。
一番手前にあるのは、聖徳太子をお祭りした聖徳太子堂です。聖徳太子は、大阪の四天王寺や法隆寺などの建設に関わったことから職人の祖として信仰されています。毎年1月22日には建築関係者が集まり太子講が執り行われます。
3つの堂宇の中央にあるのは徳宗大権現堂です。鎌倉時代の第14代執権、北条高時を徳宗大権現として祭っており、北条高時の命日に当たる毎年5月22日には徳宗大権現会(とくそうだいごんげんえ)が行われます。
一番奥には大聖歓喜天堂(だいしょうかんぎてんどう)があります。ここには鎌倉時代後期の作と考えられる木造歓喜天像(国指定重要文化財)が祭られています。土紋装飾が見られる点に特徴がありますが、秘仏であり一般公開はされていません。
「土紋」とは、中世の鎌倉のみで流行した仏像の装飾技法。浄光明寺の阿弥陀三尊像(国の重要文化財)が最古のものとされています。
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本堂すぐ右脇には「平成水琴窟」があります。柄杓で水を流すと軽やかな心地よい音がするので試してみてください。
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本堂前を横切り本堂正面に向かって左側に進むと、宝篋印塔があります。1333年に滅亡した北条氏と東勝寺(とうしょうじ)戦没者の霊を供養するための慰霊塔で写経、写経石が納められているそうです。
宝戒寺の花
彼岸の頃に咲くシロハギ
宝戒寺といえば鎌倉を代表するハギの名所。寺院入り口からの参道両側や境内、そして本堂前にたくさんのシロハギが植えられていて、別名「ハギの寺」として知られています。
ハギのほかにも季節に応じていろいろな花が咲き、境内を彩ります。
2021年11月に宝戒寺を再訪したところ、参道や境内を埋め尽くすように生い茂っていたハギが根元から刈り取られ、境内はすっきりとしていました(下の写真)。
冬 ウメ
冬ともなると本堂の周りや大聖歓喜天堂の前などにウメの花が咲きます。
宝戒寺の木々
本堂に向かって右側には、ビャクシンの大木があります。また、その実が羽根突きの羽のおもりとしても利用されるムクロジ(無患子)の木などもあります。ムクロジは漢字で「無患子」と書くため「子が患わ無い」ということで大変おめでたい木とされているそうです。
ご朱印
ご朱印は、何種類かありますが、今回は本尊の子育経読地蔵大菩薩のご朱印をお願いしました(鎌倉二十四地蔵第1番札所)。本堂内の受付で書いていただきました。
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鎌倉観光文化検定対策
鎌倉観光文化検定公式サイトに過去問の記載がある第11回(2017年度実施)以降の鎌倉観光文化検定(以下、「鎌倉検定」)2級および3級の出題の中から、宝戒寺について、出題状況や傾向を検討します。※問題文は一部改変している場合があります。
2020年度・2021年度の鎌倉検定は中止となっていますのでご留意ください。
傾向と対策
出題傾向としては、3級では寺院名や寺院ゆかりの一族名を問うもの、2級では説明文の本文として登場するものや「誤りの選択肢」として出題されているものがあります。3級の問題は簡単ですね。
- 初秋のシロハギが見事で「萩の寺」として親しまれている寺はどこか。(第11回・3級)⇒正答:宝戒寺
- 毎年5月22日に宝戒寺で行われる法要はどの一族を供養し弔うためのものか。(第12回・3級)⇒正答:北条氏
- 誤っているものの組み合わせを問う問題で正答の組み合わせとしての出題(第12回・2級)⇒正答:サルスベリ-宝戒寺、本覚寺
宝戒寺のまとめ
- 宝戒寺は、鎌倉駅近くにある天台宗の寺院。
- 四季折々に美しい花が咲くが、中でもシロハギは素晴らしく鎌倉を代表するハギの名所
- 重要文化財の木造地蔵尊を始め多くの仏像を間近で拝観可能
- 日本遺産「いざ、鎌倉~歴史と文化が描くモザイク画のまちへ~」の構成文化財
いかがでしたでしょうか。宝戒寺の概要についてひととおりまとめましたが、シロハギの花を愛でにお出掛けされてはいかがでしょうか。
交通アクセス
鎌倉駅から徒歩およそ13分
連絡先 | 金龍山宝戒寺
鎌倉市小町3-5-22 TEL:0467-22-5512 |
公式サイト | 金龍山宝戒寺公式サイト |
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参考文献
- 金龍山宝戒寺公式サイト
- 鎌倉観光文化検定公式テキスト
- 鎌倉観光文化検定公式サイト(鎌倉商工会議所)
- 深く歩く 鎌倉史跡散策 神谷道倫著 かまくら春秋社