北鎌倉駅の改札を出て直ぐのところにある円覚寺は鎌倉五山第二位の鎌倉を代表する大寺院。毎年11月には寺宝の虫干しを兼ねて一般公開する「宝物風入れ」が行われます。2021年は新型コロナウイルスの感染対策から規模を縮小して開催されました。
2021年11月の宝物風入れの時に円覚寺を訪れましたが、円覚寺は見どころ満載。ひとつの記事で表すのは大変なので、今回は国宝の洪鐘(おおがね)と弁天堂・弁天茶屋について記載します。
この記事の目次
夏目漱石ゆかりの塔頭(たっちゅう) 帰源院
円覚寺に入ったら山門や仏殿に続く階段を登らず右に進みます。やがて見えてくる苔むした階段が歴史を感じさせます。ここから右側に続く急坂を進むと間もなく円覚寺の塔頭、帰源院の門前に出ます。
作家の夏目漱石は、1898年(明治27年)の年末から翌年にかけてここ帰源院に参禅し、その体験をもとに小説「門」を書きました。境内には夏目漱石の句碑「佛性は白き桔梗にこそあらめ」があります。一般公開はされておらず拝観には事前申し込みが必要です。
【塔頭(たっちゅう)とは】大寺院の中にある小寺院や個別の坊(ぼう・僧侶の住居)のこと。帰源院は第三十八世傑翁是英(けつおうぜえい)の塔所です。
階段を登って洪鐘と弁天堂へ
国宝洪鐘
帰源院を後にして案内板にしたがい進みます。弁天堂や国宝洪鐘に続く階段を頑張って登りましょう。
階段を登り切ると、目の前に弁天堂、そして左側に国宝に指定されている洪鐘(おおがね)があります。
国宝「梵鐘」円覚寺 総高259.1センチ 口径142.4 鎌倉時代 (便利堂「国宝辞典第四判」より)
この洪鐘は、「正安三年(1301年)」の銘があり、鎌倉幕府第九代執権である北条貞時が寄進し、鋳物師(いもじ)である物部国光(もののべくにみつ)が鋳造しました。
総高259センチは鎌倉一の大きさで、6本の柱で支える現在の建物は、1513年(永正10年)に大風で倒壊した大慶寺(たいけいじ・鎌倉市寺分)の仏殿の柱を使用したものと伝わります。
同じく国宝に指定されている建長寺の梵鐘、大船にある常楽寺の梵鐘と併せて鎌倉三名鐘といわれています。
国宝洪鐘の風景印
北鎌倉駅の近くにある鎌倉小坂郵便局の風景印には、円覚寺の山門とアジサイが描かれています。また、その外枠は、円覚寺の洪鐘をかたどったものと思われます。
伝説により建てられた弁天堂
伝説
この梵鐘の鋳造は、寄進した貞時の思いどおりにはなかなかいかず2回失敗しました。そこで貞時は、江の島の弁財天に祈願したところ神霊のお告げがあり、寺内の宿龍池の水底を探ると一塊の金銅が見つかりました。この金銅を使って鐘を鋳ったところようやく成功したといわれています。この鋳造の成功を感謝して建てられてたのが弁天堂です。
江の島の弁財天と円覚寺弁天堂の宇賀神は、60年に一度出会うといわれ、その年には洪鐘弁天大祭が開催されます。2020年がこの祭りが開催される年でしたが、新型コロナウイルス感染症の影響により、2020年および2021年も開催されませんでした。
弁天茶屋でちょっと一服
石段を登って疲れたので弁天茶屋でひと休みします。メニューは下の写真のとおり。今回は抹茶を注文しました。
弁天茶屋のメニュー(主なもの)
- 抹茶(菓子付き):750円
- こんぶ茶(菓子付き):650円
- 弁天べジカレー:800円
- ソフトクリーム:380円
弁天堂にはかえるがいっぱい。「無事帰る」ということでしょうか。
ご朱印
今回はご朱印はいただいていません。洪鐘弁天大祭記念ご朱印もありました。
鎌倉観光文化検定対策
鎌倉観光文化検定公式サイトに過去問の記載がある第11回(2017年度実施)以降の鎌倉観光文化検定(以下、「鎌倉検定」)2級および3級の出題の中から、円覚寺洪鐘について、出題状況や傾向を検討します。※問題文は一部改変している場合があります。
2020年度・2021年度の鎌倉検定は中止となっていますのでご留意ください。
傾向と対策
出題傾向としては、鎌倉三名鐘についての出題が、3級、2級ともにありました。第12回の3級の問題は、円覚寺の洪鐘は問題文中に登場し、選択肢になってはいませんが、今後の出題で選択肢を入れ替えることも十分考えられます。
また、帰源院と夏目漱石にまつわる出題もされています。
- 円覚寺の塔頭・帰源院に夏目漱石の句にちなんで植えられているものは何か。(第11回・3級)⇒正答:キキョウ
- 鎌倉三名鐘とは建長寺の梵鐘、円覚寺の洪鐘と、あと一つはどこの寺の梵鐘か。(第12回・3級)⇒正答:常楽寺
- 夏目漱石が参禅し,「佛性は白き桔梗にこそあらめ」の句碑が残る円覚寺の塔頭はどこか。(第13回・3級)⇒正答:帰源院
- 円覚寺について誤りを問う問題で「鐘楼には物部国光が鋳造、北条貞時が寄進した洪鐘があり、建長寺、常楽寺とともに鎌倉三名鐘の一つで、国宝に指定されている。」という出題がされています。この選択肢は正答です。(第11回・2級)
洪鐘・弁天堂・弁天茶屋のまとめ
- 円覚寺に入って右手にある階段を登ると国宝の洪鐘と弁天堂、弁天茶屋がある。
- 国宝に指定された洪鐘(梵鐘)は鎌倉三名鐘のひとつ
- 弁天堂は洪鐘にまつわる伝説により建てられたもので、江の島弁財天とのつながりから60年に一度祭礼が行われる。
- 弁天茶屋ではカレーや抹茶などを楽しめる。
いかがでしたでしょうか。円覚寺の洪鐘、弁天堂、弁天茶屋の概要についてひととおりまとめました。円覚寺の中では中央より右側にあり石段も登らなければいけませんが、お時間に余裕があれば立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
円覚寺は多くの塔頭があります。著名人が眠る塔頭、松嶺院については下記リンクを参照してください。
こちらもCHECK
-
無念の思いを胸に ~円覚寺塔頭 松嶺院~
続きを見る
交通アクセス
JR北鎌倉駅から徒歩およそ1分 ※円覚寺に入ってから少し歩きます。
連絡先 | 円覚寺 鎌倉市山ノ内 TEL:0467-22-0478 |
公式サイト | 円覚寺公式サイト(弁天茶屋) |
この記事が気に入ったらフォロー!
更新状況
- 2022年2月6日:記事掲載
参考文献・関連サイト
- 鎌倉観光文化検定公式テキスト
- 鎌倉観光文化検定公式サイト(鎌倉商工会議所)
- 深く歩く 鎌倉史跡散策 神谷道倫著 かまくら春秋社