北鎌倉駅の改札を出て直ぐのところにある円覚寺は鎌倉五山第二位の鎌倉を代表する大寺院。毎年11月には寺宝の虫干しを兼ねて一般公開する「宝物風入れ」が行われます。2021年は新型コロナウイルスの感染対策から規模を縮小して開催されました。
2021年11月の宝物風入れの時に円覚寺を訪れましたが、円覚寺は見どころ満載。ひとつの記事で表すのは大変なので、今回は円覚寺の塔頭のひとつである松嶺院について記載します。
この記事の目次
円覚寺塔頭(たっちゅう)松嶺院(しょうれいいん)とは
松嶺院は、円覚寺内にある塔頭(たっちゅう)のひとつで、山号は圓通山(えんつうざん)、といいます。もとは不軒閑(ふかんけん)という名称で1535年(天文4年)に没した円覚寺百五十世である淑悦禅懌(しゅくえつぜんえき)の塔所です。
円覚寺百五十四世の奇文禅才(きぶんぜんさい)が、松嶺院妙円尼の寺領を拝して中興し、松嶺院に改称しました。また、この地はは四十世大拙祖能(だいせつそのう)の塔所の青松庵の跡といわれ、木造の大拙祖能像などを今に伝えています。
大正時代には作家の有島武郎が寄宿し「或る女のグリンプス」(のちに「或る女」と改題)を執筆しました。
松嶺院は公開期間が限定されています。公開期間:4~6月、9~11月
【塔頭(たっちゅう)とは】大寺院の中にある小寺院や個別の坊(ぼう・僧侶の住居)のこと。帰源院は第三十八世傑翁是英(けつおうぜえい)の塔所です。
山門をくぐり松嶺院境内へ
山門をくぐったらすぐに左に進みます。本堂と塀に挟まれた通路の左右に鉢植えと地植えの草花がきれいな花を咲かせています。
本堂を越えた先、右側には枯山水風の庭園があります。
無念の思いを胸に 松嶺院墓地
本堂を過ぎて通路沿いに歩き、高台にある墓地を目指します。途中でお地蔵さまがお出迎え。階段を登ると観音様も迎えてくれます。
松嶺院には多くの著名人が眠ります。主な著名人は以下のとおりです。
- 中山義秀(ぎしゅう・小説家)
- 開高健(小説家)
- 池島信平(文藝春秋社長)
- 清水崑(漫画家)
- 佐田啓二(俳優)
- 田中絹代(俳優)
上記の著名人のほかに、坂本弁護士一家の墓所もこの墓地にあります。暴力によって家族とともに命を落とした無念さは果たしてどれくらい大きいものだったでしょうか。
茅ヶ崎市には、開高健が生前暮らした自宅跡地を開高健記念館とし、開高健愛用の品や釣り上げた魚のはく製の展示、そして書斎が当時のまま保存・展示されています。開高健記念館については下記リンクを参照してください。
こちらもCHECK
-
悠々として急げ ~開高健記念館と茅ヶ崎ゆかりの人物館~
続きを見る
松嶺院の墓地からは円覚寺の山門や選仏場、仏殿もとてもよく見えます。
鎌倉観光文化検定対策
鎌倉観光文化検定公式サイトに過去問の記載がある第11回(2017年度実施)以降の鎌倉観光文化検定(以下、「鎌倉検定」)2級および3級の出題の中から、松嶺院ついて、出題状況や傾向を検討します。※問題文は一部改変している場合があります。
2020年度・2021年度の鎌倉検定は中止となっていますのでご留意ください。
傾向と対策
出題傾向としては、松嶺院に滞在した作家である有島武郎に関するものや、季節の花に関した出題がありました。
- 有島武郎が小説『或る女のグリンプス』(後に『或る女』」と改題)の後篇の執筆を始めた頃滞在していた円覚寺の塔頭はどこか。(第12回・2級)⇒正答:松嶺院 ※他の選択肢は帰源院・雲頂庵・臥龍庵
- 円覚寺〔 〕は日ごろ非公開の塔頭だが、境内に多くこの花が植えられ、盛りに特別公開されている。(第13回・2級)⇒正答:松嶺院 ※他の選択肢は佛日庵・正続院・帰源院
円覚寺塔頭 松嶺院のまとめ
- 松嶺院は、円覚寺の塔頭のひとつで山野草と茶花の寺
- 墓地には開高健や田中絹代、そして坂本弁護士一家などの著名人が眠る。
- 墓地からは円覚寺の山門や仏殿などが一望できる。
いかがでしたでしょうか。円覚寺塔頭松嶺院の概要についてひととおりまとめました。円覚寺の中では中央より左側にあり高台の墓地には著名人が眠ります。お時間に余裕があれば立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
円覚寺は多くの塔頭があります。夏目漱石ゆかりの塔頭、帰源院については下記リンクを参照してください。
こちらもCHECK
-
逢瀬は60年に一度 ~円覚寺国宝洪鐘と弁天茶屋
続きを見る
交通アクセス
JR北鎌倉駅から徒歩およそ1分 ※円覚寺に入ってから少し歩きます。
連絡先 | 円覚寺 鎌倉市山ノ内 TEL:0467-22-0478 |
公式サイト | 円覚寺公式サイト ※松嶺院に関する説明はありません。 |
この記事が気に入ったらフォロー!
更新状況
- 2022年2月10日:記事掲載
参考文献・関連サイト
- 鎌倉観光文化検定公式テキスト
- 鎌倉観光文化検定公式サイト(鎌倉商工会議所)
- 深く歩く 鎌倉史跡散策 神谷道倫著 かまくら春秋社