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かつては巨大寺院 ~極楽寺~

極楽寺は江ノ電極楽寺駅を出てすぐのところにある真言律宗の寺院です。開山は忍性(にんしょう)、開基は鎌倉幕府2代執権北条義時の三男である北条重時です。

かつては現在の境内の背後にある小学校などをもその敷地内に収めるほどの広大な寺領を誇る大寺院でした。

更新状況

  • 2024年11月3 日:記事掲載

極楽寺とは

極楽寺は、江ノ電極楽寺駅の目の前にある真言律宗の寺院です。山号は霊鷲山(りょうじゅせん)、開山は忍性、開基は北条重時です。北条重時は鎌倉幕府2代執権である北条義時の三男であり、名執権といわれた3代執権北条泰時の弟に当たります。

33歳のときに六波羅探題として上洛し、京都の守りと西国に意を配り、朝廷の動静を監視します。1247年(宝治元年)には鎌倉に戻り執権の補佐役である「連署(れんしょ)」に就き、北条一門の長老として幕府を支えました

その後重時は1261年(弘長元年)11月3日にこの世を去り、重時の息子である北条長時・業時(なりとき)兄弟が極楽寺の造営を続け、金堂を中心に数多くの堂宇が建立されました。

六波羅探題とは

承久の乱後に京都に設置された幕府の役職。朝廷や西国に目を光らせましたが、1333年の鎌倉幕府の滅亡とともに六波羅探題も廃止されました。

極楽寺は、鎌倉時代に材木座海岸に造られた和賀江嶋の関料(関税)を徴収する権限を与えられていたといわれています。和賀江嶋については下記リンク先を参照してください。

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極楽寺は、鎌倉十三佛、鎌倉三十三観音(22番札所)、鎌倉二十四地蔵(21番・22番札所)などの鎌倉霊場巡りの対象地にもなっています。

極楽寺に行ってみよう

極楽寺への行き方

江ノ電極楽寺駅

江ノ電極楽寺駅

極楽寺の最寄り駅は江ノ電の極楽寺駅です。極楽寺駅は「関東の駅百選」に選定されている駅で、丸い郵便ポストが印象的です。また、この駅を中心とした地域は多くの映画やテレビドラマの舞台にもなっています。

関東の駅百選

「鉄道の日」記念行事の一環として1997年から2001年の4年間に公募により選定した関東地方の特徴ある100の鉄道駅。「かまふち」ではほかに、鎌倉駅、北鎌倉駅、鎌倉高校前駅、片瀬江ノ島駅が選定されています。
極楽寺山門

極楽寺山門

改札を出たら線路沿いに緩い坂を登り、江ノ電の線路の上に架かる桜橋を渡ると茅葺の山門が見えてきます。山門の佇まいは風格があり、季節毎に咲くフヨウやアジサイが美しさを添えます。

境内には右側の通用口から入ります。

極楽寺山門

極楽寺山門

極楽寺山門脇の通用口

極楽寺山門脇の通用口

極楽寺境内の様子

極楽寺参道 桜並木

極楽寺参道 桜並木

山門をくぐると桜並木の参道となります。春には美しい桜並木となることでしょう。

本堂手前のサクラ

本堂手前のサクラ

本堂手前に、大きく枝を張り出したひときわ大きなサクラの木があります。このサクラの木は鎌倉原産とされる桐ヶ谷桜です。

八重一重咲分け桜

北条時宗公が手植えと伝えられ、現在の桜はその古株より発生したものである。一枝に八重と一重とが混生し、深紅色の極めて美しい桜である。一名御車返しと云う。原産地は鎌倉桐ヶ谷と言われ、この桜は当地に存在する唯一のものである。-現地案内板
桐ケ谷桜

桐ケ谷桜(御車返し)

桐ヶ谷とは、鎌倉の材木座付近に広がる谷戸の地名が由来で、江戸時代に後水尾天皇がサクラの木の下を御車で過ぎたところ、車を引き返してその様子を確かめたといわれています。

このため、このサクラを、別名御車返し(みくるまがえし)ともいいます。

桐ヶ谷桜の反対側にはサルスベリの巨木があります。どちらも季節になれば美しい花を咲かせることでしょう。

極楽寺収蔵庫

極楽寺収蔵庫

本堂に向かって右側には寺宝を収める収蔵庫があります。

主な収蔵品

  • 本尊 釈迦如来立像(国指定重要文化財)4月7日・8日のみ公開
  • 十大弟子像(国指定重要文化財)
  • 釈迦如来坐像(国指定重要文化財)
  • 不動明王坐像(国指定重要文化財)
  • 密教法具・忍性塔納置品・順忍塔納置品(国指定重要文化財)

4月25日から5月25日と10月25日から11月25日の火・木・土・日曜のみ開館(雨天休館) 300円 本尊木像釈迦如来立像は4月7日・8日のみ公開 通常300円のところこの2日間は700円となります。

本尊釈迦如来立像

本尊の釈迦如来立像は清涼寺式釈迦如来立像ともいわれ、忍性が京都嵯峨の釈迦堂(清涼寺)に安置された釈迦像の模刻を発願して製作したものとされています(造立1268年・文永5年、寄木造)

十大弟子像

本尊の釈迦如来立像に付属する像として作られたものと考えられ、1258年(文永5年)の銘が残る像もあります。
千服茶臼

千服茶臼

製薬鉢

製薬鉢

極楽寺には、無料の診療所ともいえる施薬院(せやくいん)や、孤児や老人、病人などを収容する悲田院(ひでんいん)がありました。

収蔵庫の手前左側には、薬を作るときに使ったとされる千服茶臼や製薬鉢が残されています

管理人 sho
開山の忍性は道路改修や橋梁架設などの土木事業も行ったと考えられています。
すごい人だったんだね!
こん吉
極楽寺本堂

極楽寺本堂

境内の奥に本堂があるのでお参りしましょう。

本堂内部の仏像等

  • 不動明王坐像
  • 興正菩薩坐像
  • 忍性菩薩坐像

本堂は毎年4月の7日と8日に公開され堂内に入ってお参りすることができます。

観音堂

観音堂

納経受付

納経受付

観音堂には如意輪観音が祭られています。また、御朱印は納経受付でいただくことができます。

子育て地蔵

子育て地蔵

奥の院へ

極楽寺裏門

極楽寺裏門

本堂脇の奥には裏門があります。普段は閉じられていますが、4月8日の開山御廟特別参拝の日(花まつりの日)だけ開かれます。住宅街や小学校のグランド横の道などを経由してして進むと奥の院に到着します。

管理人 sho
極楽寺裏の住宅街や小学校のグランドもかつては極楽寺の境内でした。

奥の院には開山である忍性の墓とされる巨大な五輪塔や、開基である北条重時の墓とされる宝篋印塔などがあります。

奥の院については下記リンクを参照してください。

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下記「北条重時墓前祭」は2022年のみ一般公開されましたのでご注意ください。

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極楽寺の花たち

春 サクラ(桐ケ谷桜)

桐ケ谷桜(御車返し)

桐ケ谷桜(御車返し)(クリックで拡大)

桐ケ谷桜(御車返し)

桐ケ谷桜(御車返し)(クリックで拡大)

夏 サルスベリ、フヨウ

8月になると門前にはフヨウ、境内ではサルスベリが美しい花を咲かせます。

門前のフヨウ

門前のフヨウ(クリックで拡大)

門前のフヨウ

門前のフヨウ(クリックで拡大)

サルスベリ

サルスベリ(クリックで拡大)

サルスベリ

サルスベリ(クリックで拡大)

極楽寺への交通アクセス

江ノ電極楽寺駅から徒歩およそ2分

近くの見どころ

中華料理 盛華園

極楽寺を出て江ノ電沿いに歩き突き当りを左に進むと中華料理の盛華園があります。詳しくは下記リンク先を参照してください。

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極楽寺近くの小さなお店 ~盛華園~

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伝上杉憲方の墓

第2代鎌倉公方足利氏満に仕えた関東管領である上杉憲方のものとされる墓が極楽寺近くにあります。詳しくは下記リンクを参照してください。

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極楽寺のまとめ

  • 極楽寺は江ノ電極楽寺駅すぐ近くにある真言律宗の寺院
  • 今では観光客も少ない静かな寺院だがかつては大伽藍があった。
  • 期間限定で公開される収蔵庫内部は国指定重要文化財の釈迦如来立像などがある仏像の宝庫
  • 4月8日には通常非公開の開山忍性・開基北条重時の墓が公開される。

いかがでしたでしょうか。極楽寺の概要についてひととおりまとめましたが、もしも気になるようでしたらお出掛けされてはいかがでしょうか。

 

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