茅ヶ崎にあるラチエン通りを海に向かって歩いていくと、茅ヶ崎海岸の手前右側の小さな丘に、開高健記念館と茅ヶ崎ゆかりの人物館が隣同士の敷地に建っています。今回はこの2つの施設を訪ねました。
この記事の目次
開高健記念館とは
小説家、開高健は、1930年(昭和5年)大阪市に生まれました。現在のサントリーでコピーライターとして勤めたのち、「裸の王様」で芥川賞を受賞し本格的な作家生活に入りました。
1974年(昭和49年)に東京都から茅ヶ崎市東海岸南のこの地に転居し、1989年(平成元年)に亡くなるまで、ここを拠点に活動を展開しました。開高健の死後「その業績や人となりに多くの人々に触れていただくことを目的に」その邸宅を開高健記念館として開設したものです。
玄関を入ると受付があるのでこちらで入館料を払います。
玄関ホールには、生前開高健が愛用した身の回りのものや関連する資料、写真などが展示されています。
館内は写真撮影禁止です。
ホールの奥の部屋では、企画展示「開高健と秋元啓一」が開催されていました(2022年3月27日まで)。秋元啓一は元朝日新聞社のカメラマンで、開高健のベトナム取材で行動をともにしました。
企画展示室を通り抜けると、書斎の隣りのテラスに出ます。書斎は開高健が生前に執筆を行った部屋で、机の上には愛用の品々が並び、壁にはイトウやキングサーモンなど、開高健自身が釣り上げた魚のはく製やルアーが飾られるなど、当時のままの状態で保存・展示されています。
開高健記念館 哲学者の小径
開高健記念館の門をくぐって左側から書斎に通じる小道は「哲学者の小径」と名づけられています。この道沿いのところどころに木の板が建てられ、開高健が残した言葉が書かれています。
開高健の言葉
- 悠々として急げ
- 朝露の一滴にも天と地が映っている
- 明日世界が滅びるとしても今日あなたはリンゴの木を植える
- 遠い道をゆっくりとけれど休まずに歩いていく人がある
上の写真(パソコンでは右側の写真)の階段を登ると、テラスを経由して書斎の前に出ます。
開高健の墓所は、鎌倉市の円覚寺境内にある塔頭(たっちゅう)松嶺院にあります。よろしければ下記リンクを参照してください。
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茅ヶ崎ゆかりの人物館とは
開高健記念館の門のすぐ右隣は、茅ヶ崎ゆかりの人物館(以下「人物館」と記載します。)の入り口です。写真のスロープをゆるゆると歩いて登り暫く歩くと、人物館の玄関となります(下の写真)。
受付横、エントランスホールの掲示板には茅ケ崎ゆかりの人物110名の一覧が掲示されています。
公共施設にしては玄関は一番奥で狭く、ゆかりの人物が記載されている掲示板の前には二本の柱が建っていて、写真を撮るにも柱が入ってしまいます。
これは、一般の民家だったものをこの施設に転用したもので、もともとあった柱を取り除くことが出来ずそのまま残したためです。この奥の左手(写真撮影禁止区域)には、床柱も残されています。
エントランスホールの隣りは展示コーナーとなります。この日掲示されていた茅ヶ崎ゆかりの人物は以下のとおりです。
中央の展示コーナーは写真撮影禁止です。
- 高田畊安:東洋一の結核療養所と呼ばれた南湖院の創設者
- 国木田独歩:「武蔵野」などで知られる小説家、詩人。南湖院で療養生活を送った。
- 大岡越前守藤原忠相(ただすけ):江戸時代中期の江戸町奉行。墓所は茅ヶ崎市内浄見寺
- 藤間柳庵(とうまりゅうあん):江戸時代の柳島地区の名主。農業と廻船業を経営
- 小山房全(こやまふさもち):実業家。純水館茅ヶ崎製糸所を経営
- ルドルフ・ラチエン:ドイツ人実業家。輸入商社ラチエン商会を設立 ほか
高田畊安が設立と運営に関わり当時東洋一といわれた結核療養施設である南湖院については以下のリンクを参照してください。
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展示コーナーの奥には、茅ヶ崎市に別荘を構えた俳優川上音二郎と妻の川上貞奴の展示コーナーがあります。
川上音二郎と貞奴夫妻の元別荘は、現在は高砂緑地となっています。よろしければ以下のリンクを参照してください。
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展示館を出て隣にある建物は多目的館です。内部はラウンジと多目的ホールからなり、こちらにも茅ヶ崎ゆかりの人物の写真パネルの展示がありました(写真撮影禁止)。また、外には大きな木製の円形テラスがあります。
上の写真の手前右、そして下の写真の中央少し右には、人物館のシンボルツリーともいえるキササゲの木がそびえています。また、このテラスの周辺は小さな散策路となっていて、四季折々の自然を楽しむことができます。
テラスに囲まれている木の名前はモッコク(木斛)です。
ラチエン通りとおばけえぼし
ラチエン通りとは、茅ヶ崎駅近くから茅ヶ崎海岸に延びる道路の一つで、人物館の展示にもあったドイツ人実業家ラチエンの別荘がこの近くにあったことから名づけられました。海岸に出てえぼし岩を見ると遠くに小さく見えますが、ラチエン通りからは目の錯覚で巨大に見えます。
開高健記念館・茅ヶ崎ゆかりの人物館のまとめ
- 開高健記念館と茅ヶ崎ゆかりの人物館は、茅ヶ崎海岸の手前右側の小さな丘に並んで建つ施設
- 開高健記念館には開高健の愛用品や書斎が当時のまま保存展示されており、茅ヶ崎ゆかりの人物館は茅ヶ崎ゆかりの人物に関する展示がある。
- 開高健記念館には「哲学者の小径」があり、茅ヶ崎ゆかりの人物館の周りは豊かな自然に囲まれ散策も楽しめる。
いかがでしたでしょうか。開高健記念館と茅ヶ崎ゆかりの人物館の概要についてひととおりまとめました。もしも気になるようでしたらお出掛けされてはいかがでしょうか。
交通アクセス
JR茅ヶ崎駅南口より約2キロ。東海岸北5丁目バス停より約600メートル。茅ヶ崎ゆかりの人物館は開高健記念館の隣りです。
連絡先 | 開高健記念館 神奈川県茅ケ崎市東海岸南6-6-64 TEL:0467-87-5258 |
開館時間 | 0467-44-5151 |
営業時間 | 毎週、金曜日・土曜日・日曜日の3日間と祝日 年末年始(12月29日から1月3日)は休館 |
入館料 | 200円 開高記念館と茅ヶ崎ゆかりの人物館の2館共通券は300円 |
駐車場 | あり(8台) |
公式サイト | 開高健記念館 |
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更新状況
- 2022年3月4日:記事掲載
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