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焼けた頬は見えたか ~光触寺本尊特別拝観~

光触寺(こうそくじ)は、鎌倉駅東口でバスに乗り十二所(じゅうにそ)バス停でバスを降りて少し歩いたところにあります。鎌倉駅からも少し距離があり観光客で賑わっているわけではありませんが、国の重要文化財に指定されている仏像などもあり、見どころの多いお寺です。

更新状況

  • 2024年2月15日:記事掲載

光触寺とは

光触寺三門

光触寺三門

光触寺は鎌倉駅から東の方向に延びる金沢街道沿いの、鎌倉市十二所にある時宗の寺院です。山号は岩蔵山(がんぞうざん)、開基は時宗開祖の一遍上人、開山は作阿(さくあ)と伝えられます。もとは真言宗の寺院であったものを、作阿が一遍に帰依し、時宗に改めたといいます。

寺宝である「頬焼阿弥陀縁起絵巻」(国指定重要文化財・鎌倉国宝館寄託)によると、「町の局(つぼね)が(中略)比企ヶ谷に岩蔵寺を建立し阿弥陀如来を安置した」といいます。

この「縁起絵巻」の本文中にある岩蔵寺は光触寺の前身とも考えられ、山号に「岩蔵山(がんぞうざん)」とあることから関係性があるようですが詳しいことはわかっていません。

頬焼阿弥陀縁起

昔鎌倉に町の局(つぼね)という女性がいて、仏師雲慶(運慶)に阿弥陀三尊を造ってもらい、持仏堂に安置していた。この寺には大変信心深い下働きの万歳法師という者がいたが、ある日盗みの疑いをかけられ、頬に焼き印を押されることがあった。町の局の夢枕に阿弥陀如来が現れ、汝のために我が面(おもて)に焼き印を受けたとのお告げがあった。法師の顔には焼きごての痕が残らず、阿弥陀如来の頬に焼きごての痕があったという。これを恥じた町の局は阿弥陀如来の修復を頼んだものの傷跡は元に戻らず世間に公開すると多くの参詣者がくるようになったという。

光触寺は、鎌倉三十三観音(7番札所)、鎌倉二十四地蔵(5番札所)などの鎌倉霊場、鎌倉名所巡りの対象地にもなっています。

鎌倉には二つの「こうそくじ」があります。ひとつはここ「光触寺」。もう一つは長谷の「光則寺」です。

管理人 sho
光則寺については下記リンク先をご覧ください。

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光触寺へ行ってみよう

十二所バス停付近

十二所バス停付近

光触寺橋

光触寺橋

バス停から商店の前を左に進むと間もなく赤い欄干の光触寺橋が見えてきます。

光触寺山門

光触寺山門

光触寺橋を渡るとその向こうに山門が見えてきます。

山門に向かって右側に公衆トイレがあります。

光触寺境内散策

光触寺山門

光触寺山門

光触寺山門前です。山門右側には「時宗光触寺」、左側には「重要文化財頬焼阿弥陀」と書かれています。

光触寺山門の石柱

光触寺山門の石柱

山門手前左側には2つの石柱があります。左側の石柱には「光触寺」の文字が、右側の石柱には鎌倉三十三観音(7番札所)、鎌倉二十四地蔵(5番札所)である旨が刻まれています。

「頬焼阿弥陀」と刻まれた石柱

「頬焼阿弥陀」と刻まれた石柱

山門をくぐって左側には「頬焼阿弥陀」と刻まれた石柱があります。

境内参道脇の石塔群

境内参道脇の石塔群

境内に入ると左側には石塔がずらりと並んでいます。参道をまっすぐ進みます。

一遍上人像

一遍上人像

突き当りには時宗の開祖である一遍上人の像があります。

塩嘗地蔵

塩嘗地蔵

一遍上人像の隣りには塩嘗(しおなめ)地蔵があります。地蔵の前には瓶やビニール袋に入った塩が供えてあります。

塩嘗地蔵

六浦(現在の横浜市金沢区)の塩売り商人が鎌倉に商売に行く際に朝のうちにここを通り地蔵に一つまみの塩を備えて行くのが習わしであった。帰りには塩がなくなっているのでこの地蔵が塩を嘗めたたのだろうといわれている。

塩嘗(しおなめ)地蔵はもともと金沢街道の傍らにあったものを明治時代に光触寺の境内に移したそうです。

本尊頬焼阿弥陀特別拝観

光触寺本堂

光触寺本堂

今回は本尊の頬焼阿弥陀如来の特別拝観に合わせて光触寺を訪れました

本尊頬焼阿弥陀如来の特別拝観については光触寺の公式サイトでご確認ください。

本堂隣りの苔庭

本堂隣りの苔庭

本堂に向かって左側にはちょっとした苔庭もあります。

光触寺本堂扁額

光触寺本堂扁額

光触寺の本堂扁額には「光触寺」と書かれています。

特別拝観の案内板

特別拝観の案内板

10時50分に案内があるまで暫く境内で待つことにします。

本堂内は撮影禁止のためこの先暫くは文字だけでのご案内となります。

報道向かって右側の庭

報道向かって右側の庭

10時50分になると係の方の案内があるので本堂に入ります。本堂に向かって右側には池などもありちょっとした庭園になっています。

特別拝観は事前予約制で、建物内の受付で名前を名乗り、受付簿と照合され、寺院の案内冊子が渡されます。その後内陣に入ります。

拝観者は全部で25人から30人くらいでしょうか。内陣を囲むように椅子が並べられそこに座ります。暫くはご住職が光触寺の紹介や頬焼阿弥陀如来の由来などについてお話されます。

その後一人ずつ厨子の前に進み間近でじっくりと仏像を鑑賞することができます。

頬焼阿弥陀如来と両脇侍

本尊の頬焼阿弥陀如来と脇侍の観音・勢至菩薩の阿弥陀三尊像は鎌倉時代の前半期の作と考えられている。また、本尊が収められた厨子は大変豪華なもので、鎌倉公方(くぼう)足利持氏が寄進したとも伝えられる。現在のものは江戸時代のものとみられるものの室町時代の建築をよく伝える華麗なものとなっている。

弥陀三尊のほかには一木造の聖観音菩薩立像(平安時代作・鎌倉三十三観音霊場第7番札所本尊)や旧大慈寺の丈六仏仏頭(江戸時代)などがあります。

内陣の欄間には後醍醐天皇宸筆と伝わる「光触寺」の三文字が刻まれた扁額があります。欄間の彫刻や天井の絵なども見事なもので、この寺が後醍醐天皇の勅願を得た格別の寺院であることを物語っています。

管理人 sho
本尊頬焼阿弥陀の頬に傷跡が見えるかどうかはぜひ現地でご確認ください。
境内の墓地

境内の墓地

本堂を出た後は暫くの間境内を散策して帰路につきます。

光触寺絵葉書

光触寺絵葉書

光触寺絵葉書

自宅に帰り受付で案内冊子と一緒にいただいたものを広げると、中には3枚の絵葉書がありました。

和紙製の手作りのような感触で、絵柄は光触寺本堂、塩嘗地蔵、ハナショウブの3種類となっています。

ご朱印

今回はご朱印はいただいていません。

光触寺のまとめ

  • 光触寺は、JR鎌倉駅からバスに乗り十二所バス停で降りてすぐのところにある時宗の寺院
  • 本尊の頬焼阿弥陀仏や「頬焼阿弥陀縁起絵巻」は国の重要文化財に指定されている。
  • 一遍上人像や塩嘗地蔵など見どころも多い。

いかがでしたでしょうか。光触寺の概要についてひととおりまとめました。特別拝観には事前予約が必要ですが、もし興味があればお出掛けされてはいかがでしょうか。

交通アクセス


JR鎌倉駅東口から金沢八景行き・鎌倉霊園行きバスに乗り「十二所」バス停下車徒歩およそ1分

連絡先 岩蔵山光触寺
鎌倉市十二所793
TEL:0467-22-6864
光触寺公式サイト 光触寺公式サイト

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参考文献

  • 鎌倉観光文化検定公式テキスト
  • 深く歩く 鎌倉史跡散策 神谷道倫著 かまくら春秋社
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