鎌倉文華館 鶴岡ミュージアムは、鶴岡八幡宮の敷地内にあり、鎌倉の魅力を紹介する季節ごとの展示や特別展を行い、鎌倉の新たな情報発信拠点を目指すミュージアムです。
もとは神奈川県立近代美術館だったものが、2016年3月末に閉館し、その後、耐震補強工事を施した上で、2019年6月に新たに開館しました。
この記事の目次
鎌倉文華館 鶴岡ミュージアムとは
鎌倉文華館 鶴岡ミュージアム(以下「鶴岡ミュージアム」)は、1951年に神奈川県立近代美術館として開館したもので、65年間の活動期間中に525回の美術展が開かれましたが、神奈川県と鶴岡八幡宮との土地の賃貸借契約終了に伴い2016年3月末に閉館しました。
契約上は借地権満了時に県が鶴岡八幡宮に対し土地を更地にして返還することになっていたものの、建物の保存を求める声が起ったことから、鶴岡八幡宮が建物を保存・活用することとし、耐震補強改修工事を行った上で2019年6月に再出発を果たしました。
建物の設計は建築家・坂倉準三(1901~1969年)です。坂倉は東京帝国大学で美術史を学び、その後、建築家を目指し渡仏、フランスの巨匠ル・コルビュジエに師事し、1937年(昭和12年)のパリ万国博覧会では日本館を手がけて建築部門のグランプリを受賞しています。
この建物は、師匠であるル・コルビュジエが1939年に発表した「無限発展の美術館」というコンセプトを踏襲した建物で、世界文化遺産に指定されている東京・上野の国立西洋美術館で、ル・コルビュジエ自身もこのコンセプトを実現しています。
鶴岡ミュージアムの概要
鶴岡ミュージアムの概要を以下の表にまとめました。
住所 | 鎌倉市雪ノ下2-1-53 |
電話番号 | 0467-55-9030 |
営業時間 | 10:00~16:30(入館は16:00まで)※大河ドラマ館としては9:30~17:00(入館は16:30まで) |
休館日 | 月曜日(祝日の場合は開館)、展示替期間、年末年始 ※天候の状況により変更になる場合あり 大河ドラマ館としては無休 |
アクセス | JR横須賀線、江ノ島電鉄線「鎌倉駅」下車 徒歩10分 |
入館料 | 展示会により変動します。 大河ドラマ館としては大人1,000円 小人500円 |
カード・電子マネー | 各種カード、交通系ICカード利用可 |
公式サイト | 鎌倉文華館 鶴岡ミュージアム |
2022年は大河ドラマ館としての営業となります。詳しくは下記リンクを参照してください。
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鶴岡ミュージアムの魅力を紐解く
鶴岡ミュージアムへ
鶴岡ミュージアムへ行くには鶴岡八幡宮を目指して行きます。鶴岡八幡宮に入る横断歩道を渡って太鼓橋を過ぎ、暫く歩くと左側に鶴岡ミュージアムの入り口があります。
かつては西の県道側が入り口でしたが、鶴岡八幡宮の境内側から入りやすくなるように変更されています。
鶴岡ミュージアムの敷地に入り、まず目に入るのはカフェ。切妻屋根の和風の建物が直線的な美しさを見せています。
カフェの内部には、2010年に倒れた大銀杏の一部が展示されているようですが、今回はカフェには寄らずに鶴岡ミュージアムに進みます。
2021年8月にこちらのカフェに立ち寄りました。よろしければ下記のリンクからどうぞ。
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鶴岡ミュージアム入り口から
鶴岡ミュージアム入り口にあるブロンズ像は、彫刻家・富永直樹の作品です。正面入り口で入場料を払い、建物内に入ります。
展示室内部
展示室は2階にあります。この日は重要文化財指定を記念した展示会「ひらかれたミュージアム坂倉準三の原点」という展示会が開催されていました。
まず目に飛び込んできたのは重要文化財指定書。
展示室内には、坂倉が手掛けたパリ万博日本館や旧近代美術館の模型、坂倉が愛用した家具などが展示されています。通常は写真撮影は禁止ですが、この展示会では一部を除き写真撮影が可能でした。
「ひらかれたミュージアム 坂倉準三の原点」の会期は2021年7月25日までです。
展示室の外に出て、旧喫茶室に入ります。
かつてはデートやお見合いにも利用されたというこの部屋は、左右非対称な曲線を描く木製のカウンターが復元されています。
奥のモニターでは、当ミュージアムに施された改修工事の様子が放映され、その概要を知ることができます。
中庭と平家池
廻廊式の建物の中心になるのが中庭です。中庭の壁は大谷石の積み壁によって構成されていて、ここで見上げると四角い空が開けます。
中庭からテラスに進みます。ここはこのミュージアムでもっとも眺めのいいところ。平家池の水面に当たった光が天井に反射しています。
また、平家池に細い柱を並べ立ててその両側を石で挟み込み、日本古来の建築のようなデザインにしています。
平家池をひと回りしよう
平家池には遊歩道が整備されています。季節ごとに咲く花や紅葉などを見ながら歩き、ミュージアムを正面から眺められるところに来ます。
さらに歩くと、茶寮風の杜の前に来ます。葉山町にある名店、日影茶屋が監修する和モダンの茶寮で、抹茶や甘味などをいただくことができます。
この付近からは赤い和傘越しにミュージアムを見ることができます。
茶寮風の杜から鶴岡八幡宮の参道に出れば、平家池の周りをほぼ一周したことになります。少し先にある出島のようなところからミュージアムを眺めるのもよいと思います。
鎌倉観光文化検定対策
鎌倉観光文化検定公式サイトに過去問の記載がある第11回(2017年度実施)以降の鎌倉観光文化検定(以下、「鎌倉検定」)2級および3級の出題の中から、鶴岡ミュージアムについて、出題状況や傾向を検討します。
2020年度・2021年度の鎌倉検定は中止となっていますのでご留意ください。
傾向と対策
出題傾向としては、立地や施設の正確な名称を問うものなどがあります。
- 鎌倉文華館 鶴岡ミュージアムが畔に建っている池はどれか(第13回・3級)⇒正解:平家池
- この施設の正確な名前は何か(第13回・2級)⇒正解:鎌倉文華館 鶴岡ミュージアム
施設そのものが出来てからまだそれほど年数が経っていないため、出題数はあまり多くなく、内容も平易です。今後はもう少し違った形の出題がされるかもしれません。
例えば以下のような問題が出題されるかもしれませんが、難易度はそれほど高くないと思います。
- 鎌倉文華館 鶴岡ミュージアムの設計者は誰か⇒坂倉準三
- 鎌倉文華館 鶴岡ミュージアムの元の名称は何か⇒神奈川県立近代美術館
鶴岡ミュージアムのまとめ
- 鎌倉文華館 鶴岡ミュージアムは、旧神奈川県立近代美術館を継承し、2019年6月に開館
- 設計は坂倉準三で、師匠であるル・コルビュジエのコンセプトを踏襲
- 建物は耐震補強工事などが施されて再生され、2020年には国の重要文化財に指定
- 平家池に前に建つ真っ白で幾何学的な姿が美しい
いかがでしたでしょうか。一度は取り壊しが決まっていたものの、耐震補強工事等を施した上で重要文化財に指定された鶴岡ミュージアム、まさに「起死回生の重文指定」と言えるのではないかと思います。
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更新状況
- 2021年7月18日:記事掲載
参考文献
- 現地案内チラシ
- 鎌倉文華館 鶴岡ミュージアム 公式サイト
- 新聞記事